東芝メモリ(株)
キャリア採用

転職者インタビュー/新規メモリ開発部門

フラッシュメモリ発明企業のDNAを継承し、
未来のメモリ研究開発の先頭に立つ。

NAND型フラッシュメモリの発明から30年以上にわたり、
東芝は世界のメモリ技術の革新をリードしてきた。
そして今、東芝メモリはこのDNAを受け継ぎ、
NANDの次の世代を担う「新規メモリ」のR&Dでも先陣を切っている。
まさに次世代を画する取り組みの実際を
キャリア入社して活躍中の研究者に聞いた。

K.I.
2009年入社 博士(工学)
メモリ技術研究所 デバイス技術研究開発センター 新規メモリ開発部

2001年3月、大学院電子物理工学専攻博士課程修了。シリコン・ゲルマニウム系半導体の基礎研究で博士号を取得。ICTメーカーの研究所に入り、将来世代の高速・低消費電力トランジスタを探究。産官学連携の国家プロジェクト「半導体MIRAIプロジェクト」に出向して、東芝のグループに参加。当時、研究に携わったシリコン・ゲルマニウム系半導体トランジスタの技術は、現在のゲーム機等に搭載されているMPU向けトランジスタの基盤技術となっている。その後、トランジスタ・インテグレーション担当の立場で先端CMOSの開発から量産立ち上げまでを経験。この技術は国産スーパーコンピュータに組み込まれている。

「世界のこの人」という人がいる、すぐ話を聞ける。

──当社に転職した理由からお話しください。

2008年にハワイで開催されたVLSIシンポジウムで発表を行った時、東芝の社員に声をかけられたのがきっかけです。当時、日本の半導体産業は縮小傾向で、正直なところ、研究開発に打ち込めるメーカーは、国内では限られつつありました。以前、国家プロジェクトで東芝の技術者と共同研究を行った経験もあったし、半導体の先端技術を極めたいと志向していたので『ここしかない』と、必然的な選択でした。
実際、入社後10年近い体験を通して、当社は世界トップクラスの半導体国内メーカーと改めて実感しています。基礎技術の研究から要素技術の開発、プロセスや製品の開発・設計、量産まで、半導体のものづくりのフェーズをすべてカバーしている。エンジニアの層がとても厚く、何か知りたいと思った時に、必ず「世界のこの人」という人がいて、すぐ話を聞ける。日本の半導体技術の英知が集まっていて、非常に触発される場だ、と肌で感じています。
言い換えれば、当社内で研鑽を積んで成果を挙げた人は、そのまま世界に羽ばたける存在になれるということです。社内には研究論文で国際的な賞に輝いたり、権威ある国際学会で発表を行っているメンバーも多く、NAND型フラッシュメモリを発明した企業ならではのDNAが脈打っています。

SCM(ストレージクラスメモリ)など、近い将来の高性能メモリの実現を目指して。

──入社後はどのような研究に取り組んできましたか。

基本的に前職からずっと、新規材料の基礎研究を中心に、トランジスタをいかに高性能化するかを追究してきました。当社に転職してからも、2011年から14年まで産総研に出向して世界最高移動度(当時)のゲルマニウムチャネルトランジスタを開発し、VLSIシンポジウムやIEDMで発表しました。ただ、もともとロジックLSI向けに開発を進めたこの技術では、沢山の電流を駆動できるかわりに、電源オフの際にも多くのリーク電流が流れてしまうという固有の問題があり、メモリ向けトランジスタには適していませんでした。
一時はチームが解散直前になるほどの紆余曲折も経験しましたが、何とかしてシリコンを超える性能を引き出すことができるメモリ向けトランジスタ材料はないかと考え抜いた末、2015年に新たなテーマを立ち上げました。現在、研究開発を進めている材料は、移動度とオフ時の電流特性のバランスが良いため、メモリに適用できればSCM(ストレージクラスメモリ)など未来の高性能メモリの実現につながると考えています。
幸い、4年目の現在では小規模ながらプロジェクトチームを率いて、チップの試作フェーズまで歩を進めることができました。メンバーの専門はディスプレイ、センサ技術、パワー半導体、物理、化学など幅広く、シリコン材料やLSI、メモリデバイスの開発経験者はそう多くありません。最先端のデバイス開発は、ベースのないゼロ地点から創り出していくトライアルなので、固定概念にとらわれず、異分野の知見や、今までにない視点からのアプローチが必要不可欠だと思っています。私自身、ロジック系のトランジスタを長く手がけてきましたし、イメージセンサーに目を向けたこともあり、最初からメモリに関わっていたら、今の発想はなかったのではないかと思っています。
研究者として今までにない新しいものをぜひ創りたい、だからこそ考え方、進め方を思い切り変えてみる…そういった大胆な取り組みが、フューチャーメモリの研究開発では特に大事だと私は確信しています。

NAND一本足打法では、もう勝ち抜けない。

──近未来のメモリ技術は、どのように展開していくと考えていますか。

フラッシュメモリは3次元化・高積層化が進む一方で、DRAMに比べアクセス速度が遅い問題は解決されていません。一方で、高速で動作するDRAMは現時点では平面での微細化技術に依存し、そろそろ微細化の限界に近づいています。その間を埋める明日のメモリがSCMであると世界共通の認識ですが、これという形がまだ定まっていないのが現状です。
メモリ専業メーカーとして独立した当社は、そこを先んじていかなければなりません。もはやNANDの一本足打法にとらわれていたら勝ち抜けないと覚悟し、広くメモリデバイスの全体像を見渡して、高速性や信頼性や記憶容量など、いろいろな軸を満たせる製品をラインアップしていく必要があります。こうした観点から、次に求められる技術が何なのか、製品化につながるテーマを探究し形にしていくのが、私たち新規メモリ開発部の研究者のミッションです。
アカデミックな研究に終始するのではなく、特許など独自の知財を取得して権利を守りつつ、製品としてモノにするところまで成し遂げてはじめて、私たちがメモリの近未来を開く先頭に立てると言えるでしょう。

──ご自身のキャリアイメージ、また目指している方向は。

これからも新しいもの、先端技術を追求していく姿勢に変わりはありません。NANDのその先に、まったく違うメモリを創っていきたい、そこに使える材料は何かというレベルから、新しい素子への私たちなりのアプローチを続けていきます。
同時に、世界をリードするメモリメーカーである以上、実現可能性が強く求められます。私は主にトランジスタに注目してきましたが、さらにメモリセル、チップ、システムの階層まで俯瞰できるトータルな視点を持って研究を加速させたいと考えています。
年次的な役割ではリーダーのポジションに就いているので、自分がこれまでに、上司や先輩に育ててもらった恩を、少しでもチームのメンバーに返していけたらと思っています。例えば、若手を積極的に国際舞台に出して成長を促すとか、制度化されている社費留学を後押しするといったサポートにも力を注いでいます。さらに新規メモリ開発部をハブに、国内外の大学や研究機関、ベンチャー企業とのコラボレーションも推進していこうと期しています。

恵まれた環境のもと、一人ひとりのチャレンジと成果を重視。

── 最後に、当社への転職を検討中の研究者に向けてメッセージをお願いします。

半導体は研究開発が生命線を握る産業の最たるものです。業界大手である当社はダイナミックな事業拡大の波に乗って発展を続けています。研究開発にも注力していて、研究者には非常に恵まれた環境が整っています。
技術者の層が厚いのも、当社ならではの特色です。明日のメモリを実現する基礎技術の研究から、今日の先端メモリ技術やデバイス技術の開発、製品設計、プロセス技術や生産技術に至るまで、研究開発とものづくりの多様なフェーズで問題を解決できるエンジニアが揃っています。研究部門と開発部門や製造部門との間のジョブローテーションも進めているので、現場で修業をしてラボに戻る、あるいはその逆のキャリアパスも選択できます。
それだけ活躍できるフィールドが広いわけで、「どのフェーズが自分に合っているのか、どのフェーズでものづくりをしたいのか」皆さんには今一度しっかり確認してほしいと思います。面談の場でもミスマッチングを起こさないよう、一人ひとりのスキル、キャリア、志向などを詳しく伺ったうえで、最適な部署・ポジションへのアサインに努めています。
業務はもちろんチームワークですが、個々のチャレンジと成果を重視しているので、研究者として自己実現できるチャンスは大きいと、これは自信をもって言い切れます。

── ありがとうございました。

※2018年7月時点の情報に基づく